不倫をしていた期間と慰謝料の金額との関係について
1 不倫をしていた期間と不倫慰謝料金額との関係
一般論としては、不倫をしていた期間が長い場合の方が、不倫慰謝料の金額も高くなる傾向にあります。
不倫慰謝料は、不倫をされた側の配偶者に生じた損害に対する賠償金であり、損害が大きいほど賠償金も高くなるためです。
もっとも、不倫期間の長短は、婚姻期間と比較して相対的に見るべき場面もありますし、その間に実際に不貞行為が行われていた回数も考慮する必要があります。
以下、不倫慰謝料の法的性質と、不倫期間と関連して不貞慰謝料請求の際に考慮すべき要素について詳しく説明します。
2 不倫慰謝料の法的性質
不倫慰謝料の請求は、法律的な用語を用いて表現すると、不法行為に基づく損害賠償金の請求になります。
不法行為とは、故意または過失によって、人の権利を侵害する行為のことです。
不倫慰謝料は、不貞行為によって、不倫をされた配偶者が有する平穏な夫婦生活を送る権利が侵害された際に発生する損害賠償金です。
一般的には、不貞行為によって侵害された権利の度合いが大きいほど、不倫慰謝料も大きくなると考えられます。
3 不倫期間と関連して不貞慰謝料請求の際に考慮すべき要素について
⑴ 不倫期間の長短
1のとおり、不倫に及んでいた期間が長いほど、不倫慰謝料も大きくなる傾向にあります。
不倫期間が長いと、一般的には平穏な夫婦生活を送る権利を侵害する不貞行為も多くなると考えられるためです。
感覚的にみても、不倫が数か月間であった場合と、何年も続いていた場合とを比べてみると、後者の方が精神的な損害は大きくなります。
⑵ 婚姻期間の長短
不倫に及んでいた期間が仮に数か月間であったとしても、婚姻して間もない場合と、すでに婚姻生活を30年以上続けてきた場合とでは、権利侵害の程度が異なると評価できる可能性があります。
⑶ 不貞行為の回数の多寡
一般的には、不倫期間が長いと、それに比例して不貞行為の回数も多くなると考えられています。
しかし、不倫自体は長期間に渡っていたものの、不貞行為に該当する性的関係を持ったのは数回に満たないという場合、慰謝料が低くなることもあります。